前回は、教科書の重要なポイントについてお話しました。
今回は試験のたびに、その活用が取りざたされる『過去問』について書いてみたいと思います。
「過去問は過去問に過ぎず、2度と出ない」からというのは大間違い!
過去問は既出の問題なので、もう出ない内容だからと思っている人は『喝っ!』と言いたいところです。
なぜに、当方が張本勲先生になるかというと、その考えには重大な誤りがあるからなのですね。
特に資格試験とかになりますと、数年周期で似たような問題が出題されているようなことさえあるのです。
これなどは、もう『過去問が出題のヤマを教えてくれている!』レベルの話ですので、これは利用しない手がありませんね。
「でも大学入試には、通用しないでしょう?」
そんなことを考えておられる人があったら、その人にも『喝っ!』ですね。
過去問こそ!試験の最重要ポイントなのである!
さて、引っ張れるだけ引っ張った感じですが、過去問をどう使うかで合否が大きく変わってくると思います。
資格試験は元より、入学試験でも過去問はとても大切になるのです。
突然変な例えをしますが…ちょっと競馬の例を出してみます。
★ 万能な神様がいて、競馬の結果を先に知っているとします。
それに対して、競馬の予想屋さんがいて、何とか当てたい!と思っています。
あなたなら、どちらの意見を聞きますか??
この競馬の予想屋さんというのは、受験では予備校の先生とか模試の出題者にあたります。
受験生の要望に応え、何とかして予想問題を作りたい!
受験生に尊敬されるべく頑張って、バッチリ当ててやる!という立場ですね。
それに対して『万能の神様』というのは(すこし違うかもしれませんが…)出題委員の先生にあたりますよね。
出題委員の先生は、現場で『試験問題を作る』ことに携わっていますので、「ははあ~、こんな風に問題ができていくんだ」という過程をつぶさにご存知です。
ということで、次回の試験に最も近い『雰囲気』の問題というのはやはり過去の問題ということになるのですね。
それから…まだありますよ!
入学試験の出題委員は、基本的にはアマチュア?(副業)である。
大学の入試委員と言うのはプロではありません。
…と言うと「何のこと?」ということになると思います。
詳しく書くと「入試問題製作が本業ではない!」と言うことですね。
大学入試問題製作で飯を食っているわけではない…すなわち、教授であったり、助教授であったり、講師であったり…
他の本業がある人が、大学から依頼を受けて作っているのです。
某国公立単科医科大学では、英語の2次試験の問題は近隣の国立X大学の先生と回り持ちで順番に作っているとか?
例えてを1つ出しますと、ローカルの某県には『国立A大学』と『国立A医科大学(単科大学ですね)』があり、A医大の英語の入試問題は順番にローテーションで作るとかで…
1年目…A大学の英語の教授が担当
2年目…A大学のドイツ語の教授が担当
3年目…A医科大学の英語の教授が担当
4年目…A医科大学のドイツ語の教授が担当
5年目…A大学の英語の教授に戻る
※ ドイツ語の教授は、基本的に英語もできるみたいですね。
…県によっては、国立機関が雇っている英語の教官数がかなり少ないので、出題が偏らないように、また同じ人ばかりではたいへんだから、という理由でこんな風に振り分けている噂があります。
ところが、仕事がなんだかんだ忙しい時に限って、出題の順番が回ってきます。
「(問題作成の締め切りが近づくにつれて…)あ~、困った。最近、どんな問題が出てるのかなあ?」とやはりここ数年の問題をどうしても参考にしちゃうということに。
ということで、人は変われど同じような?何だか似た傾向の問題が出題される…と。
これも地方の理科系単科大学ですが、教授はA(イギリスの作家で結構マイナーな作家)という作家の作品の研究者であるから、Aの作品からしか出ない…なんて評判があったり。
(ここは、県立大学ですので、受験する生徒は先輩からこの話を代々聞かされており、Aの作品の翻訳は必読書だったという話もあります!)
ね!ですから、過去の問題 結構バカにならないんですよ。
まとめて言うと、出題者と受験するあなたとが、同じソースを参考にすると言うことになりますからね。
これが有利に働かないわけがないではありませんか??
過去に出題者になったことがある自分の体験談を書いてみると…
不肖 私ですが、ある時期に2年間ほど某ジャンルの講師に選ばれまして、週1で講師を請け負ったことがあります。
そして、講師は1年の中間・期末の修了試験の問題を作らなくちゃならない。
そこで一計を案じた私は、すべて過去にないオリジナルな問題をこしらえた…と思ってください。
その内容を、ここに書くわけには行けませんが、例年の傾向からバッと変わったものですからかなりの生徒が(結構わかりやすいのに…(泣))正答に苦しみ、不合格者が続出!
私は、学院長(⇒私立だったので…)の部屋に呼ばれてお小言を頂くことになりました。
その上、再試験の問題は作らなくちゃならないわ、それでもダメだった子のために、レポートを書かせて採点しなくちゃならないわ、いやもう大変な騒ぎに!
「なんで、こんな大騒動になったんだよ!」と自分を責めてもどうにもなりません…
…というようなことにならないために、やっぱり前年までの過去10年くらいの問題から『改良版』を作りゃあ良かったじゃない(後の祭り)ということになったわけですね。
導入初期のセンター試験は、もう大変でして、問題作成をしたことがない(=経験がない)素人ばかりが作っているから、大変な騒ぎに。
いつの年だったか、物理と生物の平均点が20点近く開いてしまって科目間の差が問題になった時期もありました。
(選挙でしばしば『一票の格差』とかが言われて、憲法まで持ち出す騒ぎになりますが、苦労して物理を勉強して最初から20点のハンデキャップがあったら、受験生たまったもんじゃありません!)
(大学入試試験本部は「ちゃんと科目間の調整をしている」と発表しましたが…)受験生としては、気が気じゃないわけです。
もう、新聞投書などにも 厳しいものが続き「出題委員はボランティアでやってるのに、どうしてこんなに叩かれなくちゃならないの?!」そんな出題者の声もたくさんあったとか。
ということで、出題する側もドキドキの状況にある…というのが現実なのです。
資格試験でも、合格点が年度によって大きく開くと、これが問題になります。
「○○年合格者は、なんだか出来が悪いぞ!」みたいになっても困りますし。
宅建士とかですと、50点満点で合格点は33点~37点と極めて上手にコントロールされており(合格点が1点変わると、合格者の数もガバっと変わる!)、この話もそのうち書くかもですが…
(相当なご苦労がしのばれますね)
ということで、まとめてみると、過去の問題は出題者が最も関心を持って内容を吟味していること、これについては疑う余地がないということですね。
結論としては、過去問『で』勉強する!ことは極めて重要な戦略であるとなるのです。